施工の難しさが、職人の深さをつくる
漆喰やモルタルを使って壁面を仕上げる左官工事は、建物の種類や用途によって求められる技術が大きく異なる。テーマパークの造形壁面には立体感を出す技術が、寺社仏閣の修繕には伝統工法の再現精度が求められ、一般住宅には滑らかな仕上がりの安定感が求められる。尾形工業株式会社はそのすべてに対応できる施工力を持ち、千葉県船橋市を拠点に多種多様な建物の左官・漆喰工事を手がけてきた会社だ。現場ごとに異なる技術的な要求に応えることが、職人の成長につながるという考え方が現場文化の根底にある。
代表取締役・尾形和彦氏のもとで、熟練の職人が多数在籍。定期的な勉強会を通じて、ベテランが持つ技の細部を若手に手渡す仕組みが続いている。「先輩の仕事を横で見ながら覚えていく」という感想が若手から出るのは、技術の伝達が机上の話ではなく、現場の空気の中で起きているからだ。
未経験入社者が育つまでの、具体的な道すじ
左官の知識がゼロの状態でも、体系的な教育システムと先輩職人による指導を経て、一流の職人を目指せる環境が整備されている。資格取得・能力向上に応じた昇給制度があるため、学んだことが待遇に反映されるという分かりやすい構造になっている。「ちゃんと評価してくれる会社だとわかったから続けられている」という声は、この制度への信頼感を示している。子育て世代を含む社員が長く在籍し続けているのは、働きやすさと待遇の両方が機能している結果だ。
未経験者を一から育てるためには、教える側にも相応の労力がかかる。それでも丁寧な指導を続けるのは、長く働ける人材を育てることが会社の基盤になるという判断があるからだろう。個人的には、採用ページからその本気度が率直に伝わってきた。
船橋に根を張り、全国に扉を開く採用のかたち
尾形工業株式会社の採用スタイルは、地元・船橋市の求職者だけを対象にしていない。全国どこからでも応募を受け付け、移住者向けに社員寮を整備するという体制が整っている。本社は千葉県船橋市大穴南、滝不動駅から徒歩約10分の立地でマイカー通勤にも対応。住まいと通勤の両方の選択肢を確保することで、遠方からの入社が現実的な選択になるよう設計されている。
「全国のモチベーションの高い方を求人しております」という言葉には、技術への意欲を持った人材を出身地で選別しないという意志がある。「寮がなかったら来られなかった」という入社者のリアルな感想が、受け入れ体制の整備の実用的な意味を端的に表している。
建物が残ることで、職人の仕事も街に刻まれる
左官工事で仕上げた壁や床は、建物が存在する限り残り続ける。その建物に人が集まり、生活が営まれる——そうした積み重ねを「住む人を幸せにする仕事」と表現するのが尾形工業株式会社のビジョンだ。携わった建物のユーザーだけでなく、社員一人ひとりの幸せも同等に考えるという方針が、職場設計の根拠になっている。日曜定休を基本とした勤務体系や、働きやすい環境の整備は、その方針の具体的な表れだ。
アットホームな雰囲気の職場という評価が社内にあるのは、職人同士の勉強会や指導の文化が日常的な関係性を生み出しているからだろう。伝統技術を守りながら、それを次の世代に引き継いでいく——尾形工業株式会社の仕事はそのサイクルの中に位置している。


